不整脈その7:心筋炎

 

 

 

 今回は心筋炎という病気についてご説明します。あまり聞き慣れない病名と思います
が、年齢を問わず起こりうる心臓の病気で、重症の場合には生命に関わることもあり
ます。心筋炎はウイルス感染などによって心臓の筋肉に炎症が起こって、心機能が低下して心不全を起こし、様々な不整脈の原因となります。経過によって急性心筋炎と慢性心筋炎に分けられますが、特に急激に状態が悪化する場合を劇症型心筋炎と呼びます。

 最初は風邪症状や下痢・腹痛などから始まって、次第に息苦しさ、動悸、胸の痛みなどの症状が出現します。症状は重症度により異なり、軽症の場合はほとんど症状がないこともあります。炎症により広範囲に心筋が障害を受けると、心臓のポンプとしての働きが弱くなり、呼吸困難やむくみなど心不全症状が出現します。重症の場合、血圧が低下してショック状態になることもあります。また、炎症が心臓の中の刺激伝導系に影響を及ぼして房室ブロックなどの不整脈の原因となって、動悸や意識障害を引き起こすことあります。

 診断は心電図、レントゲン、血液検査、心臓超音波検査などで行います。症状が急性心筋梗塞と似ていることがあり、鑑別のためカテーテル検査を行うこともあります。心筋炎は状態が急に悪化することもあり、入院治療が必要です。軽症の場合には安静のみで経過をみますが、心不全やショック状態を起こしている場合には薬物治療や機械的な呼吸循環補助療法が必要となります。また、房室ブロックの場合には一時的ペースメーカーを使用します。

 心筋炎自体に対する特異的な治療法はなく、急性期の循環動態を維持することが重要です。近年は経皮的心肺補助装置などを用いて劇症型心筋炎でも救命できる可能性があります。また、急性期を過ぎた後も心機能低下が続くこともあり、この場合は長期的な治療が必要となります。

 心筋炎の初期症状は風邪の症状と変わりなく、数日後に心不全などの症状が出現してきます。息苦しさや動悸などを感じたら、「ただの風邪」と自己判断せずに早めに医療機関を受診して下さい。

田村クリニック 内科  黒田 雄三

平成17年2月



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