子どもの発熱−その1−
     
 

 ようやくインフルエンザも峠を越そうとしています。今シーズンにおける当地区の流行は、A型、B型両方が混在する形式をとった結果、連続して各々のインフルエンザに感染し、悩まされたご家族も少なからずありました。さて今回は、インフルエンザの際にもキーポイントであった発熱に関して、確認して頂きたい点を二、三挙げてみたいと思います。

 まず、熱そのものはウイルスや細菌が発するものではなく、患者の身体が作り出すものということを確認しましょう。病原菌の侵入を認識すると免疫細胞がその菌を攻撃し、すぐに太刀打ち出来ない場合には、ある伝達物質を利用して脳の視床下部にある温熱中枢に応援要請をします。その結果、体温の上昇が生じて免疫細胞の活性化を導き、病原菌の撃退を促進するのです。つまり発熱自体は悪者ではなく、発熱をもたらす原因(つまり病原菌)が悪いのです。ウイルスや細菌は比較的温度の低い所で生存しているので、体温を数℃上昇するだけで病原体の動きが低下し、加えて免疫系の活性化が起こるため、発熱はそれ自体、生体防御反応として利に叶った現象であるのです。

 ただし、大人と違い子どもは体温中枢が未発達のままであるため、発熱時の体温コントロールが下手なのです。つまり、発熱時に勢い余って高熱になり易いのです。このことから、子どもが40℃出したから重症で、38℃だから軽症と結論してはいけません。40℃でも、比較的機嫌良くお遊びしている子どもは身体に余裕があるとして、緊急性を要しないでしょう。

 乳幼児の場合、四肢末端の循環は元々悪いことが多く、発熱時などは殊更に冷たくなることを経験した方も多いことでしょう。外気温が低い冬には、冷たいだけでなくチアノーゼに近い皮膚色になり、心配がつのります。手足抹消の血管が収縮して循環が悪くなりますが、中心部(体幹)の温度はかなり上昇していますので、手足を温めようとして身体全体を毛布などで包んで温めてしまうと、かえって欝熱となって体温の上昇をもたらす危険があります。「熱が高くなると、子どもの脳細胞がおかしくなるのでは?」と心配でならないお母様はいらっしゃいませんか?真夏の甲子園、熱い温泉、サウナ等、40℃を軒並み越す環境はいくらでも周りにあります。つまり、40℃ぐらいの発熱それだけでは、脳障害を引き起こす原因には成り得ません。しかし、発熱が生じた結果、身体全体で約2割の生理的な機能低下が起こり、身体のだるさなどが加わり、子どもに元気がなくなると脱水症などに陥り、家での管理が難しくなります。そのような場合には、高々1℃くらいの解熱で、随分身体が楽になることが確認されています。

平成15年3月
 


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