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昨月まで小児の気になる症候とインフルエンザウイルスに関してお話ししました。今月は、自分の子供をより良く
診てもらうにはどうすれば良いか?を診せていただく医者の立場からお話ししたいと思います。
診察から適格な診断をすることは、小児科として当然のことです。ただし、診察に至までのお家での状態の把握も
診察と同様に重要なものです。よって、「カゼひいたのでカゼ薬下さい」ではなく、例えば咳が出ているのであれば
「咳出るカゼのようなので、薬をもらいに来た」とか具体的なことが聞きたいのです。
では、前回までの小児の症候毎に情報提供の方法をお話ししましょう。
@発熱:まず、発熱に気が付いたのはいつからか?その後、お母様方が熱に対してどのような対処をし始めたか?
その時の児の状態はどうだったか?元気であったが、触ったら熱かったのか、顔が紅潮して外見から熱がありそう
と判断したのか?検温して発熱と判断したか、触った感覚からか?−これは、子供達が眠くなる時に抱っこしていると
分かりますが、触った感覚で温かくても、検温して体の深部の体温(これを深部温といい、受診時の熱がある際に
申告する値です)が平熱であれば、病的ではないとして良いものだからです。余談ですが、鼓膜体温計での検温に際し
ては、児がそれまで枕ないし布団に耳を接していた場合、接した耳の方で検温すると必ず高く出ますから、反対側の耳
で測定しましょう。また、2、3回連続して測定して、ばらつかない、つまり測定が正確であることを確認すると
なおさら良いと思います。
そして、熱はその後どのような変化をしたか?変動するのか、ずっと高いままなのか?
−これを熱型というのですが、このパターンから診断が出来るものもあります。また、治療をし始めてから、熱が
どのように変化したか?「熱が下がらない」だけではなく、1日のなかで一度は下がるのか?昼間は下がっているが
夕方から上昇してしまうのか?その辺を医療サイドは知りたいのです。
A咳と鼻水:咳は「こんこん」の空咳か、「ごほごほ、ぜろぜろ」の痰がらみの咳か?1日のうち特にひどくなる時間帯
があるか?特に寝入りばな、起きがけなどに集中していないか?鼻水は、量的なこと、つまり気が付くと鼻の下に二本の
線なのか、くしゃみの時にズルッと来るのみか。鼻づまりを伴っているか?痰の絡むような咳と言っても、鼻汁が喉に
落ちて刺激となる咳がそのように聞こえることもあるのです。鼻汁の色にも注意しましょう。透明の水っぱななのか、
白色、黄色、緑色なのか?鼻汁、息が臭くないか?−口臭は胃が悪いと生じるだけでなく、感染性の鼻汁からの臭いも考え
る必要があります。
B嘔吐、下痢:これらは、熱より発症起点がはっきりしているでしょう。嘔吐の場合、いつからか?受診時までに
どれくらい吐いたのか(回数、多少の量)?最終はいつか(治まって来たのか?徐々に進行しているのか?)?が
重要です。注意すべきことは、咳が出た挙げ句の嘔吐か否かです。子供は、大泣きしても嘔気がきて結局嘔吐にまで
ゆくこともあるのです。咳も加減出来ないためとことんしてしまい、嘔吐が起こります。こんな場合は吐き気止めの薬は
効果がなく、咳をとめる薬を飲まないといけません。
下痢も、性状を忠実に教えて下さい。血液が混じっていても、便全体に赤くなるのか、下痢便の表面に浮かぶように
あるのか。粘液状の透明物が主体なのか、色はあるが水様なのか?後は、においがどうか?
C発疹:いつ、どこの部位で発見されたか?広がっているか?痒みを伴っているか?
園児や学童の場合、兄弟で同時期に症状が同じで、流行が予想されている場合はその情報も重要です。
また、受診時に前医があり投薬を受けている場合は、その薬が何であるか(薬品名、ないし何を目的に
した薬か、どういう作用の薬か)を教えて下さい。くすりのノートを作っても便利ですね。今迄に合わなかった
薬(発疹が出たり、嘔吐したり)も分かります。大人の場合は錠剤が主体で、後ろにカタカナやローマ字で薬品
名がうたわれているので、見ると直ぐに分かりますが、子供の場合は粉薬にしろシロップにしろ複数が混合され
ることが多く、外見のみでは内容が分からないことが多いのです。
最後に、色々な症状が気になるでしょうが、母親からみてお子様は元気が残っていそうか?もうグッタリで
助けてー!なのか?教えて下さると完璧です。
自分の表現が十分できない時期の子供を過不足なく、適格に治療するにはお母様をはじめとした、児を普段から
一番見ている方からの情報が不可欠なのです。「こいつ、気に入らん医者だな!」と思っても(思うのはいくら
でもOK)、わが子のためと思って情報提供をお願いしますね。
平成15年8月
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