過敏性腸症候群
     
 
 ストレスに満ちた現代社会、そのストレスを自分の中で解消しきれなくなってくると、身体的症状(心身症)が出現してくることが、よくあります。特に盲腸は、ストレスに敏感に反応する臓器の一つです。

 心配事や不満、怒り、悲しみなどの心理的なストレスは、食欲減退、嘔気、胃癌、腰痛、便秘、下痢といった消化器症状の原因となります。

 病気には、臓器の組織に炎症、出血、腫瘍の出現といった変化(これを器質的障害といいます)を伴う場合と、器質的障害を伴わないのに、正常な働きをしない場合(これを機能的障害といいます)とがあります。消化器疾患の場合、内視鏡検査をしてみると、とてもきれいな胃や腸なのに、ご本人はひどく胃腸の調子が悪いというのが、機能的障害ということになります。

 消化管を十二指腸までと、それより下部に二分すると、上部の機能性障害を「機能性胃腸症」、下部のそれを「過敏性腸症候群」と呼びます。(どちらにも腸が付くので、紛らわしいです。)

 今回は主に下部の過敏性腸症候群を取り上げるつもりですが、これは、冒頭でも述べた通り、心理的ストレスの影響が大きい疾患です。

 症状は、排便障害を伴う断続的な下腹部痛で、主に便秘になる場合と下痢になる場合、及び便秘と下痢を繰り返す場合があります。初診でこのような症状を訴える人の場合、これが大腸癌や、潰瘍性大腸炎のような器質的な疾患であるか否かがまず問題ですが、詳しい病歴や日常生活との関連を聞くと、約八割は、見当がつきます。しかし残り二割は、大腸検査で何も異常がないことを確認した上で、過敏性腸症候群の診断をします。

 治療は、セレキノン、コロネル(ポリフィル)といった良い薬があるものの、最も有効な対策は生活習慣の改善と、ストレス対処法の確立であるといえます。


平成13年8月

 


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