今年の梅雨は梅雨らしく、雨で肌寒い日と、夏らしい暑い日とが交互に続き、体調を崩す人が多い様に思われます。夏風邪は胃腸症状を伴ったりして体力を消耗します。
特に高齢者や慢性呼吸器病の人は、風邪をこじらせると肺炎に移行して重篤化することを常に警戒している必要があります。肺炎は高齢者の死亡の直接原因になることがよくあるからです。
肺炎を引き起こす原因菌のうち最も高頻度のものは、肺炎球菌です。風邪は大半がウィルス感染によるのですが、ウィルスと同時に、または少し遅れて肺炎球菌に感染すると、やっかいな肺炎になります。
最近では、抗生物質が効きにくい肺炎球菌が増加する傾向が続いているため、「肺炎になっても抗生物質で治せる」と楽観出来ない時代になってきました。特に呼吸器系感染症によく使用されるマクロライド系抗生物質(エリスロシン、クラリス、クラリシッドなど)が効きにくいものは、検出される肺炎球菌の半数近くにのぼっているという報告もあります。
この肺炎球菌による肺炎を予防するためのワクチンが実用化され、当院のようなクリニックでも接種できるようになりました。このワクチンは、一回接種すると約五年間は有効であると言われています。高齢者や、免疫機能が低下している人、または慢性呼吸器病、糖尿病などの肺炎にかかりやすく治りにくい人には、このワクチンの接種をお勧め出来ます。欧米では、インフルエンザワクチンと同時に、この肺炎球菌ワクチンが接種されることが多いようですが、日本では、同じ日に接種するのは避け、一週間以上間隔を空けることになっています。
平成14年7月
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