誤嚥性肺炎
     
 
 誤嚥性肺炎とは、本来気管に入ってはいけない物が気管に入り(誤嚥)、そのために生じた肺炎のことです。

 健康な若い人の場合、異物が気管に入ったりすると、激しく咳込んで、その異物を気管の外に出してしまいます。しかし、高齢者や脳梗塞などにより咳反射が低下している人の場合は、異物を出すことが出来ず、気管から気管支に入ってしまい、肺炎を起こします。

 異物というと、食物、胃液、はずれた入れ歯などを連想しますが、口腔内の雑菌も、唾液と一緒に少量ずつでも誤嚥すると肺炎になります。実は一般的に、老人性肺炎といわれている肺炎の大部分は、この細菌性誤嚥性肺炎であり、これは要介護老人の直接死因の約30%を占めています。

 肺炎の治療といえば、抗生物質を連想します。確かに抗生物質が発見、実用化されてからは、肺炎の死亡率は、劇的に減少しました。しかし老人性肺炎だけは、抗生物質だけでは、無力なのです。

 老人の肺炎を予防するためには、誤嚥を防止することが最も重要です。最近、誤嚥のメカニズムが研究され、脳内のサブスタンスPという物質の不足が、咳反射低下の原因であることが解明されました。サブスタンスPの不足は、やはり脳内物質のドパーミンという物質の不足が原因であり、ドパーミンの不足は、脳梗塞やパーキンソン病などによって起こります。従って脳梗塞の予防や、パーキンソン病の治療が老人の誤嚥性肺炎の予防に大変重要なのです。また、唐辛子に含まれるカプサイシンという物質は、サブスタンスPを増やす効果があるため、唐辛子は老人の肺炎を予防出来ると唱える人もいます。

 最近注目されているのが、ACE阻害剤という血圧降下剤です。これもサブスタンスPの低下を防止して、咳反射を維持して肺炎の予防になります。この血圧降下剤は、以前から副作用として咳が出やすいことで有名でしたが、それを逆手にとったわけです。

平成14年8月 

 


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