治す病気、共に歩む病気
     
 
 私事ですが先日、右手ばね指のため初めての手術を受けました。医師として僕自身が似たような手術に携わっていたのですが、初めてまさしく患者の側に立ち、このような痛いものであったかと目から鱗が落ちる思いでした。幸い次第に痛みは消えていき、切開縫合部分も元通りに戻りつつあります。手術に限らず、全ての治療手段は自然治癒力を最大限に利用することで成り立っているわけですが、まったくうまく出来ていると感心します。
 
 さて、治る病気としては肺炎に代表される細菌感染症があげられます。発熱や痛みなど急性期の症状は激しいながらも原因は明確で抗生物質が著効します。したがって一定期間の内科的治療により正しく跡形もなく治ることが殆どであります。虫垂炎や胆嚢炎など、場合によっては外科的処置が必要なこともありますが、やはり短期間で回復し完治するはずです。
 
 一方、共に歩む病気はふたつにわけられます。ひとつは日常生活における一定以上の制限を余儀なくされ、余命も短くなるもの、他方は治療を継続することにより健常人と遜色ない生活が可能で、生涯をまっとうできるものです。
 前者は脳梗塞、慢性腎不全、慢性心不全などがあげられ、後者として気管支喘息、狭心症高血圧、糖尿病などがあげられます。
 前者に関しては、病気が起こってからでは遅く、発症予防をするのが最善です。後者のうち高血圧や糖尿病では病気そのものはたいした症状を起すことは少ないのですが、合併症の発症(例えば脳梗塞であったり、腎不全だったり)が最大の問題でありますから、それを予防するための治療の継続が重要です。
 
 医学が進めば、こうした病気にもいずれ本質的に治す病気が出現することと期待しておきましょう。ちなみに私が受けた手術は、治る病気の類、すなわち根治できるものというわけで
す。

では、また

平成13年7月

 


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