薬について
     
 
 先月より多摩センター北口クリニックがオープンしました。この記事を読んで来院される患者さんもいらっしゃり、嬉しい限りです。また、新戦力としてクリニックに加わった、呼吸器内科の山口医師の評判も予想通りによく、心強いことです。

 さて、今回は薬についてお話いたします。
 我々内科医が病気に対応できるのも、確かな診断がつきさえすれば、それに応じて殆どの病気に対して治療薬が存在するからで、常に必要とされる薬を開発してきた研究者には頭が下がります。
 
 薬のことで思い出すのはレッズという映画です。映画の中で米国人の新聞記者は高血圧による腎臓病を患いながら革命前のロシアの取材をしておりました。時代は20世紀の初めですから、高血圧の有効な治療薬は無いに等しく、医師からは安静を指示されますが、命を削りながら取材を強行する新聞記者はやがて若い命を落としてしまいます。

 現在では高血圧の治療で難渋することは殆ど皆無であり、早期に発見して治療を開始する限りは、高血圧による腎臓病や脳症は殆ど見られなくなりました。本邦では文豪、夏目漱石が胃潰瘍を患い、50歳で命を落としましたことはご存知かと思います。現代では胃潰瘍に対してH2ブロッカーあるいはプロトポンプ阻害薬と呼ばれる、強力に胃酸を抑える薬で治療可能です。また、最近では胃・十二指腸潰瘍の多くはピロリ菌感染であることがわかり、抗生剤治療により再発までも予防できるようになっております。

 最近、薬疹、肝臓障害、横紋筋融解症などさまざまな薬剤のことが新聞などの紙面を賑わわせております。もちろん薬剤により薬疹などの副作用を経験した方はその薬の名称を記録しておき、医療機関を受診される際には必ず申告されることが必要です。
 薬害をなくすことは困難ですが、薬のことを良く知り、注意深く使う限り、薬害よりもはるかにその効果によって恩恵をこうむる患者は多いと思います。

平成13年11月  

 


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