夢のような
     
 
 いつものようにクリニックに出勤するとなにか様子が違います。クリニックの中は花が飾られよい香りがして。待合室のふかふかのソファにはパラパラと診察待ちの患者が座っておられます。診察予約表に目を通すと30分にひとり!の贅沢な時間配分です。最初の患者は狭心症で通院されている方。前回受診からの症状を聞き血圧を測り、脳神経の反応や胸の聴診痔や足のイボまで全身くまなく診させていただきました。20分で一通りの診察を終え、処方箋を渡して診療を終えました。

 次の患者は第二診察室に座っておられます。一昨日の夜から喉が痛いと訴える若者。服を脱いでいただくとぽつぽつと発疹があり、発熱もしており、喉を覗くと左の扁桃腺が腫れて、部分的に膿んでおりました。先ほどの方と同様、全身の診察を行った上で扁桃腺を綿棒でぬぐい、プレパラートに付着させて顕微鏡で覗きますと、予想通り、扁桃腺を起し易い細菌がうじゃうじゃと見えました。この細菌にはペニシリンが良く効きます。抗生物質を処方して飲みきるようにお話しました。これでやはり20分の所要時間でした。次は、というところで目が覚めました。夢だったのです。
 
 ところが米国ではこれが標準的な診療スタイルで、予約はきちんと守られ、一人あたりの診療時間は20分から30分。どういう症状だろうが、全身の診察をして当たり前だそうです。医療の質とアメニティを維持するため、米国はGDPの15%という日本の約2倍を医療に消費しております。管理医療や無保険者の増加など、問題を抱えた米国の医療制度ですが、それでもうらやましい限りです。翻って日本では、医療費抑制のため様々な方策が採られようとしております。どういう結果を招くのかを心配しております。米国医療の現在に関して興味がある方は、医学書院から出版されている 李 啓充医師の“市場経済にゆれるアメリカの医療”をご覧ください。ではまた。

平成14年1月  

 


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