伝染性単核球症について
     
 

 今回は唾液を介して感染し、「キス病」としても知られている伝染性単核球症について説明します。
 伝染性単核球症は、EBウイルスというウイルスに初めて感染することで発症します。感染する(伝染する)ことによって、血液中に異型リンパ球と呼ばれるリンパ球(単核球)が増加するので、これが病名の由来となっています。異型リンパ球が出現するのは、ウイルス感染から体を守ろうとする反応の結果なのですが、リンパ節や肝臓・脾臓が腫れて、血液中に異常なリンパ球があるので、時には白血病、悪性リンパ腫などの重篤な病気と区別が難しい事もあります。
 3歳頃までには70%の人がEBウイルスに感染すると言われています。免疫系の未熟な乳幼児期に感染した場合には、ほとんどが無症状ですが、免疫系がある程度完成してから感染すると、症状が認められるようになります。38度くらいの発熱が1〜2週間続いたり、咽頭痛や体表リンパ節の腫大や肝脾腫をきたします。時には全身に発疹を生じることもあります。さらに肝機能障害や、まれに黄疸を伴うこともあり、肝炎ウイルスによる症状と区別する必要があります。
 診断には血液中の異型リンパ球の存在の確認や、EBウイルスの抗体価を測定する必要があります。治療は特別なものはなく、肝機能障害に対しても投薬は避けるのが一般的です。全ての症状は約1〜2ヶ月後には消失しますが、EBウイルスは感染者の唾液の中に休止状態で生存し続けます。ときどき活性化しますが、その時には症状はありません。また、伝染するからといって隔離をする必要はありません。健康な人の唾液の中にも、EBウイルスが認められるからです。
 初期には風と区別が難しいこともありますので、自己判断せずに早めに受診することをお勧めいたします。

平成16年7月

 


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