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連載記事

尿路感染症って何ですか?



おっしこの流れる道に何らかの細菌の感染が起きた病気のことです。部位によって、尿道炎、前立腺炎、腎盂腎炎などに分かれます。


1.膀胱炎は女性に多い
女性は男性に比べ膀胱の位置が下にあります。そのため尿道が男性より短く3〜4pしかありません。そのかわり尿道が太く、入り口が肛門に近い位置にあります。 このように女性は外からの細菌が侵入しやすい構造になっています。膀胱炎になると、 排尿時や終わり頃に下腹部や尿道に痛みや違和感を感じます。排尿後もまだ尿が残っている感じがしたり、トイレが近くなったり、尿が濁ったりします。ひどいときには血が混じったりします。このような症状があったときには早めに泌尿器科を受診しましょう。


2.男性は尿道炎、前立腺炎に注意
男性は女性とは違い、尿道が長く屈曲していますから、膀胱炎ではなく、尿道炎や前立腺炎になります。排尿時痛や頻尿、残尿感など女性の膀胱炎と症状に明らかな違いはありません。尿道から膿のような分泌物が出たり、包皮が腫れたりすることがあります。 多いのは大腸菌などの一般細菌の他、クラミジアや淋菌といった性行為に関連する病原体もしばしば見かけます。原因となる病原体によって、使用する抗体が異なってきますから、泌尿器科を受診するとよいでしょう。


3.熱が出たら、腎盂腎炎、前立腺炎(男性)、精巣上体炎(男性)に注意
女性の膀胱炎や、男性の尿道炎だけでは決して熱が出たりしません。熱が出た場合には腎盂腎炎や男性では前立線炎、精巣上体炎を起こしている可能性があり、注意が必要です。これらに発展すると重症化する場合もあります。 最近では大腸菌でも、抗生物質に抵抗力を持つもの(耐性菌)が出現することがあり、 最初に投与された抗生物質で症状が良くなっても、再度診療を受けて、尿が完全によくなるまで診療を受けたほうがよいでしょう。

2011.07 伊藤 貴章


頻尿の原因について

1、過活動膀胱

 頻尿の原因として最近話題なのは、過活動膀胱といわれるものです。
高齢男性の場合は、前立腺肥大症に伴うものが最も多いようです。一方、女性の場合は、骨盤底筋が年齢と共に弱くなることが原因であったりしますが、多くは原因が特定できません。症状としては、昼間の頻尿( 8回以上)、夜間頻尿( 1回以上) の他に、急にトイレに行きたくなり、我慢できない感じ( 尿意切迫感) や間に合わなくて漏らしそうになる( 切迫性尿失禁)などです。

2、膀胱知覚過敏( 過知覚膀胱)

 膀胱の知覚過敏という状態は以前より指摘されていましたが、最近東京大学の本間教授らにより、過知覚膀胱という概念が提案されました。症状としては過活動膀胱と同じく昼間や夜間の頻尿を認めますが、急に行きたくなる感じや間に合わなくて漏らすようなことはあまりありません。どちらかというと、いつもトイレに行きたい感じがある、いつも下腹部に違和感を感じる、といった症状が続きます。膀胱知覚過敏がさらに悪化した状態が間質性膀胱炎という、原因がよくわからない慢性膀胱炎といわれています。

3、残尿( 排尿した後に膀胱に尿が残る) が多い場合

 残尿が多い場合も頻尿の原因となります。症状は昼間や夜間の頻尿の他に、切迫感や切迫性尿失禁など過活動膀胱とよく似ています。通常、本人に残尿感( 残った感じ)はあまりありません。この状態を過活動膀胱と診断して抗コリン薬を飲み続けますと、よくならないばかりか残尿量が増え、腎臓に悪影響を与えるようになります。

4、多飲多尿( 水分の取り過ぎ)

 水分を過剰に取るために尿が近くなる方がいます。血液がサラサラになるために、というようなことで水分摂取が推奨される傾向にありますが、必要以上に摂取しても排泄されるだけで、場合によっては心臓や腎臓に負担をかけることがあります。排尿日誌( 何時にトイレに行き、何ml出たか1日を通して記録) を書くとよく分かります。
いずれにしても各個人で異なってきますので専門医に相談すべきでしょう。


2011.02 伊藤 貴章


血尿・尿潜血について

 あなたは、尿に血が混じった、あるいは健康診断などで尿潜血があると言われたことはありませんか? 尿潜血とは目では見えない血が尿に混じっていることを言います。治療がいらない生理的な血尿のこともありますが、中には重大な病気が潜んでいることがあります。血尿を見ることのある病気をあげてみます

 膀胱がん

 症状の特徴としては、専門的には無症候性の血尿、つまり排尿時の痛みなどの他の症状があまりない血尿のことです (ただし頻尿などの症状を伴うこともあります)。一度血尿が出た後、すぐに止まって、一見良くなったかのように見えることもあります。診断には膀胱鏡が有用です。最近の膀胱鏡は軟性鏡と言って比較的軟らかい材質でできており、検査の際、あまり痛みなく受けられます。喫煙歴は重要な危険因子です。早期であれば内視鏡により手術も可能です。いずれにしても膀胱鏡検査は重要です。

 腎臓結石・尿管結石

 尿路の結石では血尿や尿潜血を伴うことが多く見られます。それに加え痛みの発作を伴うことが多く見られます。痛みは腰部から、わき腹、下腹部に見られます。尿管結石が移動し膀胱に近づくと、頻尿や残尿感といった膀胱炎のような症状を認めることがあります。診断にはレントゲンや超音波検査、CTなどが有用です。小さなものは自然排石を試みますが、大きなものは処置が必要になります。放置しておくと腎臓の機能に悪影響を与えることもあります。

 急性膀胱炎・急性前立腺炎

 膀胱や前立腺の細菌による感染により起こった炎症です (急性前立腺炎は男性のみ)。排尿時の痛みや違和感、頻尿などに加えて血尿を認めることがあります膀胱炎は女性に多く、大腸菌の感染が多くを占めています。膀胱炎を放置しておくと腎臓にまで炎症が及び、腎盂腎炎となり、高熱や腰痛が現れるようになりますまた男性の場合の急性前立腺炎では発熱が見られます。高齢者では重症化することもあります。

 その他

 腎臓の腫瘍などでも血尿が見られることがありますので、超音波検査も有用です   いずれにしましても心当たりのある方は、泌尿器科にご相談ください。

2009.12 伊藤 貴章


トイレの話

 今回は、具体的な症例をご紹介します。

 まず、A夫さん。65歳で、50歳を過ぎた頃より、トイレに行く回数が増え始めました。夜中に2回もトイレに行きたくなること自体も辛いのですが、トイレに行っても排尿に時間がかかり、周囲の人を待たせているのではないかと気になって仕方がないとおっしゃいます。この場合は、前立腺肥大症の疑いがあります。放置しておくと、腎臓に負担をかけることにもなりかねませんので、泌尿器科を受診した方が良いでしょう。

 次のB子さんは52歳です。1年程前より、なかなか良くならない膀胱炎に悩まされていました。我慢できないような尿意を頻繁に感じ、近所の内科を受診し、抗生物質を出されたのですが、あまり良くなりません。そのうちに尿がたまってくると、膀胱に痛みのようなものを感じる様になりました。これは間質性膀胱炎の疑いがあります。この病気は、女性に多くみられ、まだ原因も、決め手となる治療法もはっきりしないのですが、多少なりとも症状を改善することができますので、泌尿器科に相談してみてください。患者さんの会もあり、そこでは色々なことに積極的に取り組んでいます。

 最後に43歳のC子さんです。半年程前から会議など思いがけないタイミングで強い尿意を感じるようになりました。トイレの回数も1日に7回以上と増え、そのうち何度かは我慢できないような激しい尿意を感じるようになりました。ごくたまにですがトイレに間に合わず、漏らしてしまうようなこともあります。この場合は、過活動膀胱の疑いがあります。我慢できないような強い尿意と頻尿が特徴で、悪化すると尿を漏らしてしまうこともあります。男性にも女性にもみられ、原因ははっきりしないことが多いようです。膀胱の活動を抑える抗コリン剤が有効です。諦めずぜひ、泌尿器科を受診してみてください。

2009.11 伊藤 貴章


トイレが近い

 夜寝てからトイレに何度も起きる(夜間頻尿)ようなことはありませんか? また昼間でも頻回にトイレに行ったり(頻尿)、尿意を感じると我慢できない、行ってもまたすぐ行きたくなるというようなこと(尿意切迫感)はありませんか? 若者、年配の方、男性、女性に関係なく、様々な原因があることが多いのです。

 ○過活動膀胱

 急に尿意をもよおし我慢できない感じがあり、でもトイレに行ってもあまり出ないトイレに何回も行く、といった症状が続くものです。性別、年齢に関係なく起こります。抗コリン剤が有効とされています。

 ○前立腺肥大症

 男性で50代以上であれば、まず前立腺の病気を考えなくてはなりません。前立腺は、加齢とともに肥大し尿道を圧迫します。初期の頃は、頻尿(夜間も含めて)や尿意切迫感が現れ、進行とともに排尿に勢いがなくなり、残尿が出現するようになります。放置すると腎不全になることもあります。治療法はその程度によりますが、まず内服治療が行われます。

 ○前立腺がん

 前立腺がん特有の症状はありません。50歳以上に多く、前立腺肥大症を併せ持っている場合がほとんどです。従って前述のような症状がある場合は前立腺肥大症とともに前立腺がんも考えなくてはなりません。前立腺がん発見のためにはPSAの測定が有用です。これは前立腺がんがあると上昇するもので、血液検査をするだけで測定できます。

 ○神経因性膀胱

 脳梗塞などによって膀胱の神経が正常に働かなくなり、排尿に異常をきたす病気です。過活動膀胱や前立腺肥大症のように、頻尿、排尿困難、尿意切迫感が見られることがあります。原因の治療とともに、排尿状態を改善するために内服治療が行われます。

 ○間質性膀胱炎

 年齢に関係なく起こり、女性に多い病気で、何らかの原因で膀胱の粘膜が炎症を起こし、頻尿やトイレに行ってもまたすぐ行きたくなったり、トイレに行きたくなると我慢できなくなったりします。また下腹部や尿道・膣の周辺に痛みや重い感じなど違和感を感じることがしばしば起こります。一般の膀胱炎とは違い、抗生物質で治らず、症状が長い間続きます。診断のためには膀胱鏡が有用です。最近、間質性膀胱炎の患者会もでき、様々な情報提供を行ってます。

 いずれにしても困ったことがあれば遠慮しないで、専門医を受診しましょう。

2009.10 伊藤 貴章


急増する前立腺癌

 前立腺癌は中高年の男性に多くみられる癌です。アメリカでは既に10年以上前から、男性の癌の中で罹患率(病気に罹る比率)が最も高く、死亡率では第2位になっています。日本でもライフスタイルの変化に伴い、近年急激に患者数が増えています。2020年には2000年の2.8倍になり、肺癌に続いて第2位の罹患率になると予想されています。前立腺癌は早期に発見し適切に治療すれば、完治も期待できる病気ですから、今後ますます早期発見が重要になってきます。特に前立腺癌のリスクの高まる50歳以上の男性や、家族に前立腺癌の人がいる男性は、定期的に検診を受けることが大切です。

 前立腺癌とは?

 前立腺とは、男性だけが持っている臓器で膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように存在しています。精液の一部を作り、精子の運動機能を助ける働きをしています。この前立腺に出来る癌が前立腺癌です。前立腺癌の多くは比較的進行が緩やかですが、初期には特徴的な症状がないため、発見が遅れがちになります。

 前立腺癌と前立腺肥大症

 前立腺癌以外の前立腺の病気に前立腺肥大症があります。これは加齢のため前立腺が肥大し、尿道を圧迫し、排尿の勢いが弱くなったり、尿の回数が増えたり、夜トイレに起きるようになったり、尿の切れが悪くなったり、残尿感が出現する病気です。どちらも中高年の男性に多く、前立腺肥大症が前立腺癌になるわけではありませんが、自覚症状がよく似ています。そこで重要なのはPSA検査や直腸診、前立腺超音波検査などです。

 PSA検査とは

 前立腺癌を発見するための血液検査で、PSA値が高いほど前立腺癌が疑われます。PSAとは前立腺で産生されるたんぱく質で、健康な人の血液中にも存在します。したがって前立腺肥大症や前立腺炎、加齢でも上昇しますが、前立腺癌で特に高くなるため、前立腺癌の早期発見の指標として用いられています。

 直腸診とは

 医師が肛門から指を入れ、直腸の壁越しに前立腺に触れて、その大きさや硬さから前立腺癌の可能性を探る検査です。PSAの上がらない前立腺癌もありますので重要な検査です。

 これらの検査で前立腺癌が疑われる場合には、前立腺の組織検査(前立腺生検)が必要になってきます。いずれにしても、心当たりのある方は、泌尿器科を受診することをお勧め致します。

2009.6 伊藤 貴章


尿失禁おしっこが漏れる

   尿意のためトイレに間に合わず、漏れてしまう(切迫性尿失禁)

 尿意のためトイレに間に合わず、漏れてしまう(切迫性尿失禁)

 トイレが我慢できないような強い尿意を尿意切迫感といい、そのためにトイレに間に合わず少し漏れてしまうことを切迫性尿失禁といいます。この状態は女性にも男性にも見られ、年齢と共に増加する傾向があります。この原因としては、トイレが近い状態を伴う過活動膀胱や、排尿に勢いがないという症状を伴ったりする前立腺肥大症や前立腺炎などがあげられますがはっきりしない場合も多いようです。検査としては、残尿測定で排尿後に尿が膀胱に残らないかどうかや、排尿の勢いをみる尿流測定、他の疾患がないか確認したり、前立腺の大きさをみるために超音波検査を行ったりします。治療としては膀胱の過敏な動きを抑える抗コリン剤というのが主に用いられます。しかし前立腺肥大症のある場合では、まず前立腺肥大症の治療を行うべきで、抗コリン剤は慎重に用いなければなりません。また、緑内障のある方では抗コリン剤の投与は注意すべきです。

 せきやくしゃみなど、お腹に力が入った時に漏れてしまう(腹圧性尿失禁)

 お腹に力が入った時尿が漏れ出てしまうことがある状態を腹圧性尿失禁といいます。これは女性に多く、出産や加齢のために膀胱や子宮を支えている筋肉(骨盤底筋群)が弱くなることが原因です。検査としては失禁の程度をみるためパッドテストを行います。その他残尿量をみる残尿測定や尿流測定、超音波検査などを行います。治療としては、骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操を行ってもらい、括約筋のしまりをよくするためのβ刺激剤などを投与します。これで改善しない場合や重症例では手術が必要になる場合があります。

 排尿後に少し尿がたれてしまう、尿の切れが悪い(排尿後滴下)

 排尿後に少し尿がたれてしまい、下着を汚すことがあるような状態を排尿後滴下といいます。排尿後に残尿があったり、尿の勢いが悪いために起こったりします。男性では前立腺肥大症や前立腺炎の方に多いようです。男性の場合、尿道が屈曲しているため、残尿があまりなくても尿道の屈曲した部分にたまった少量の尿が排尿後にたれてしまうことがあります。残尿測定や尿流測定、超音波検査等を行い前立腺の状態をみてそれにあった治療を行います。

 状態に関係なく尿がたらたら漏れる(溢流性尿失禁)

 様々な原因により膀胱の尿を排出する機能が低下したり、尿道の何らかの閉塞により、高度な尿の排出障害があるため、膀胱から尿を出し切れず、ダムから水があふれ出るように膀胱から尿があふれ出る状態をいいます。症状だけでは腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁と間違える可能性もあり、様々な検査が必要です。治療も原因や状況に応じて様々ですが、放置しておくと腎臓の働きにも影響を与える可能性があり、注意が必要です。

2009.5 伊藤 貴章


女性の膀胱炎と腎盂腎炎

 尿路感染症は女性に多い

 女性は男性に比べ、膀胱の位置が下にあります。そのため尿道が男性より短く、3〜4cmしかありません。そのかわり尿道が太く、入り口が肛門に近い位置にあります。このように、女性は外からの細菌が侵入しやすい構造になっています。

 原因菌の多くは大腸菌

 普通は多少の細菌が侵入しても、繁殖する前に尿と一緒に排出されてしまいます。しかし、体調が悪かったり、冷えたり、尿を我慢しすぎたりした時に菌が増殖し、膀胱炎になるわけです。大腸菌は誰もが持っている菌で、腸内にいると病原性はありませんが、体の他の部分に入ると化膿性の炎症を起こします。

 急性膀胱炎とは

 排尿時や終わり頃に下腹部や尿道に痛みや違和感を感じます。また、排尿後もまだ尿が残っている感じがしたり (残尿感)、トイレが近くなったり (頻尿)、尿が濁ったりします。ひどい時は血が混じったり (血尿) します。このような症状があった時は、早めに泌尿器科を受診しましょう。

 検査としては、まず尿検査を行い、尿の中に白血球や赤血球が正常より多く出ていないか検査します。この時点で膀胱炎と診断出来れば抗生物質を投与します。同時に尿の培養の検査を行い、どんな菌が原因か調べます。培養の検査結果が出るまでには5〜7日間を要します。最近では大腸菌でも、膀胱炎によく使われる抗生物質に抵抗力を持つもの(耐性菌)が出現することがあり、最初に投与された抗生物質で症状が良くなっても、再度診療を受けて原因菌を確認し、尿が完全に良くなるまで診療を受けた方が良いと思います。膀胱炎は水分を沢山取り、どんどん排尿することで良くなることもありますが、完全に良くなっていないと結果的に繰り返すことになってしまうので、泌尿器科を受診してみると良いでしょう。

 急性腎盂腎炎とは

 膀胱炎を放置しておいたり、細菌の感染が強かったりすると、細菌が腎盂という部分にまで侵入し、腎臓全体に炎症を起こすようになります。前述の膀胱炎のような症状と共に、寒気がしたり、発熱することがあります。また腰背部が痛くなり (左右どちらかのことが多いが両側のこともある)、特に背中の部分を軽く叩くと響くように痛かったりします。発熱は、朝方おさまり、午後から夜にかけて上がる傾向があります。抗生物質も経口薬では不十分なことも多く、点滴が必要になります。さらに、尿検査の他に血液検査が必要になることがあります。血液検査で白血球数やCRPなどの炎症反応の程度を見て、炎症が強い時は入院治療が必要になります。

 終わりに

 細菌が原因ではない膀胱炎(間質性膀胱炎)や放射線や結核菌などによる慢性膀胱炎もありますので、思い当たる方は泌尿器科を受診してみましょう。

2009.3 伊藤 貴章


前立腺肥大症

 「前立腺肥大症」は、主に50歳以上の男性に多い病気です。前立腺は、男性の膀胱を出たところの尿道を取り囲むように存在します。前立腺肥大症はこれが大きくなり、尿道が圧迫されるために排尿障害を起こす病気です。主な症状としては、次のものが挙げられます。

 1.排尿困難

 大きくなった前立腺が尿道を圧迫し、尿の勢いが弱くなったり、排尿の途中で尿が途切れたり、排尿に時間がかかるなどの症状です。ときにお腹に力を入れないと尿が出せなかったり、膀胱に尿がたまっているのに全く出せない状態(尿閉)になったりします。

 2.頻尿 (トイレが近い)、夜間頻尿

 トイレに行ってもまたすぐ行きたくなる、あるいは排尿のため何度も夜に目が覚めるといった症状です。尿が出にくい状態が続き、膀胱が過敏に働くようになってしまう場合と、残尿(排尿してもまだ膀胱の中に尿が残っている)の量が多いためすぐに行きたくなる場合があります。

 3.残尿感

 排尿してもまだ残っている感じがあり、すっきりしない状態です。残尿は徐々に増えていくことが多く、本人はあまり自覚しないこともしばしばです。

 4.尿意切迫感、切迫性尿失禁

 我慢しがたい尿意をもよおすことです。ときにトイレに間に合わなくて少し漏れてしまうことがあります。

 これらの症状のうちいずれかを認めるようなら、前立腺肥大症の疑いがあります。直腸内指診、残尿量測定、超音波による前立腺の大きさの測定、尿流測定などを行い、その程度や症状に応じて治療を行います。

 治療は、α1ブロッカー (前立腺や尿道の筋肉の過剰な収縮を和らげ、尿を出しやすくします)、植物製剤・漢方薬 (前立腺肥大症の諸症状を緩和します)、抗男性ホルモン薬(男性ホルモンの働きを抑え前立腺を小さくします)の内服治療や手術療法、その他があります。

 また、前立腺肥大症と同年代の方に多いのが前立腺癌です。早期発見のためPSA検査(血液検査です)をしましょう。

 前立腺肥大症は、各個人によって程度や状態が違います。思い当たる方は一度専門医に相談しましょう。

2009.1 伊藤 貴章


トイレが近い・・・過活動膀胱

 トイレに行く回数が多い (1日7回以上)、夜トイレに起きる (1回以上)、突然我慢しがたい尿意を催す、たまにトイレに間に合わないで少し漏らす、といった症状はありませんか? これらの症状を認める病気を「過活動膀胱」と言います。この病気は年齢と共に増加し、女性にも男性にも見られます。これらの症状のうち、いずれか一つでも認めるようなら、過活動膀胱の疑いがあります。

 過活動膀胱の原因は以下が考えられます。

 一、骨盤底筋のトラブル

 出産や加齢によって、膀胱、子宮、腟などを支えている骨盤底筋群と呼ばれる筋肉が弱くなった場合。

 二、神経系のトラブル

 脳梗塞などの後遺症で、膀胱へ行く神経が障害を受けた場合。

 三、前立腺肥大症(男性のみ)

 尿の排出が悪い状態が続き、膀胱の神経に障害をきたした場合。

 四、原因不明

 過活動膀胱の多くは原因が特定できません。

 そして、治療は以下の三つです。

 一、薬物治療

 抗コリン剤。膀胱の過敏な収縮を抑えます。

 二、膀胱訓練

 トイレに行きたくなっても少し我慢する訓練です。

 三、骨盤底筋体操

 尿道を締める力を鍛えるための体操です。

 ここで一つ注意しなければいけないことは、前立腺肥大症を認める方は、まず前立腺肥大症の治療をしてから必要に応じて過活動膀胱の治療をした方が良いということです。そうでないと尿の勢いがさらに弱くなったり、残尿(排尿した後に膀胱に尿が残る)量が増えてしまう可能性があります。

 この他、トイレが近くなる病気として、膀胱炎、前立腺炎などの感染症、膀胱がん、膀胱結石、心因性などがあります。これらの病気と過活動膀胱を見分ける必要があります。心当たりのある方は、一度専門医に相談してみましょう。

2009.1 伊藤 貴章




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