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糖尿病の治療は何のために行うのでしょうか。
重要な点は、糖尿病の三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)の予防および、動脈硬化性疾患の予防すなわち狭心症、心筋梗塞や脳梗塞等の予防です。そして糖尿病の治療には食事療法、運動療法、薬物療法の三本の柱があり、どれもとても大切なものです。
食事療法は糖尿病治療の基本であり出発点でもあります。糖尿病であるならば食事療法は必ず必要となります。食事療法については栄養士からしっかり栄養指導を受けることが非常に大切です。その際『糖尿病食事療法のための食品交換表・第6版』(日本糖尿病学会編・文光堂・2002)を用いると便利です。
運動療法も治療の三本柱の一つですが、禁止あるいは制限をしたほうが良い方もいらっしゃいますので、その点を必ず主治医に確認して行うことが必要です。また、運動療法は継続することがとても大切です。できれば毎日出来る運動が良いので、やはり「歩くこと」がおすすめです。運動後の空腹感から過剰に食べてしまい、かえって血糖コントロールが悪くなるということもあるので、運動したからといって食事療法がおろそかにならないように注意が必要です。
三つ目の薬物療法には、内服薬による治療とインスリン注射による治療があります。2型糖尿病の場合、通常、食事療法、運動療法を行っても十分な血糖コントロールが得られない場合、薬物療法を考慮します。内服薬の糖尿病薬は現在、大きく分けて五種類(SU薬、速効型インスリン分泌促進薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン誘導体、αーグルコシダーゼ阻害薬)があります。それぞれの薬には特徴がありますので、患者さんの状態を考え、最も適したものを選んでいきます。ただ内服薬一種類では十分な血糖コントロールが得られない場合、他の種類の内服薬を併用し、二剤、三剤と重ねて内服していくこともあります。さらにこれらの内服薬治療によっても十分な血糖コントロールが得られなければ、一般にインスリン注射の適応となっていきます。
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糖尿病の診断に用いられる検査の一つとして、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)と呼ばれるものがあります。空腹時血糖が126mg/dl以上、随時血糖が200mg/dl以上あれば、まず「糖尿病型」と診断されますが、この他にも、この経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によって診断される場合もあります。またこの検査では、「境界型」と診断されることもあります。また、インスリン分泌能やインスリン抵抗性なども同時に評価することが可能です。この検査が必要かどうかについては、通常、医師の判断に基づいて行われます。
さらに、糖尿病と診断された場合、治療を行っていく上で重要となる指標の一つとして、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)と呼ばれるものがあります。
このHbA1cの値は 過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映しており、つまり血糖コントロールの指標となります。HbA1cが8.0%以上ある時は、コントロールの評価としては「不可」となります。7.0から8.0%未満では「不良」、6.5から7.0%未満では「不十分」、5.8から6.5%未満では「良」、さらに5.8%未満では「優」となり、つまりこの数字が高い方が糖尿病のコントロールが悪い数字となっています。細小血管合併症の予防のためには、このHbA1cの数字で「優」または「良」、つまりHbA1c6.5%未満を目指すように心がけるべきであると考えられています。
糖尿病の診断や経過をみていく上で、この他にも糖尿病の検査にはたくさんの種類があります。糖尿病の合併症に対する検査も重要です。これらには、眼底検査尿検査、 自律神経機能検査などが含まれますが、いつ、どのような検査を行っていくかは、それぞれの主治医の先生の指示に従っていただければと思います。
また、譖日本糖尿病協会から発行されている「糖尿病健康手帳」には、血糖値HbA1c、血圧、体重等のほか、治療内容や合併症の検査所見も記載することができます。さらに血糖自己測定を行っている方は「自己管理ノート」を用いることで糖尿病治療の経過の記録にも役立ちますので、ぜひ利用してください。
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よく、「糖尿病を早く発見する為にはどのような症状に注意していけば良いのでしょうか」と言う質問を受けることがあります。
しかし、糖尿病の症状はとても気付きにくく、多少血糖値が高いくらいでは殆ど症状が出ないのが普通です。このことは、糖尿病が「沈黙の病気」としばしば呼ばれるゆえんで、糖尿病のこわい点でもあります。つまり症状が全くなくても、血糖値が高い状態が続くことにより、体の様々な臓器に障害、合併症を引き起こしてしまいます。
それでも、血糖値が非常に高くなってくると、特有の症状が出てきます。それは、尿の量が増えてトイレが近くなることや、喉が渇きやすい、食べても体重が減っていくなどと言ったものです。
さらに血糖値が極めて高くなると、場合によっては、非ケトン性高浸透圧性昏睡や糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれるような状態に陥り、昏睡、さらには生命の危険を伴うこともあります。
また、糖尿病が進行することによる合併症の症状として、まず神経障害が進行すると手足のしびれや感覚が鈍くなるといった症状や、立ちくらみがするといった症状が出てきます。さらに神経障害が進行すると、知覚神経が麻痺し痛みや熱いといった感覚が無くなってしまうため、やけどをしても痛みを感じることなく、さらにその部位に感染を伴うことにより壊疽に進展しまうこともあります。また、眼の合併症である網膜症が進行すると視力障害や失明に至ることもあります。さらに、腎臓の合併症である糖尿病性腎症が進行すると腎不全になり、だるさや足のむくみなどの症状が出現します。
もしもこれらの症状がある方は、早めに一度、糖尿病専門医にご相談されることをおすすめします。
糖尿病は、このように多少血糖値が高いくらいでは症状があてにならないので、症状がなくても、健康診断などで定期的な血液検査や尿検査を受けることが早期発見にはとても重要です。また、過去に糖尿病の気があると言われた方や血糖が高めと言われたことのある方も、一度糖尿病専門医の受診をおすすめします。
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糖尿病のタイプには大きく分けて、「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「その他特定の機序疾患によるもの」、そして「妊娠糖尿病」の4つがあります。これらは主に糖尿病が起こる原因から分類されたものです。
このうち、「1型糖尿病」とよばれるものは、体の中の膵臓という臓器から血液中に分泌される「インスリン」というホルモンの分泌がほぼ全くなくなってしまうもので、そうなると生命を維持する為には、体の外からインスリンを補わなくてはいけません。つまり、この「1型糖尿病」では通常インスリン注射による治療が必須となります。この「1型糖尿病」の多くは若年者に発症します。ただ成人になってから徐々にインスリン分泌の低下が進行していく場合もあり、「緩徐進行型1型糖尿病」と呼ばれるものもあります。通常、血液検査で抗GAD抗体などの自己抗体が陽性となり診断されます。
次に「2型糖尿病」では、インスリン分泌の低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体で、相対的にインスリンの不足を伴っているものなどがあります。日本では圧倒的にこの「2型糖尿病」と呼ばれる糖尿病が多く、主に複数の遺伝因子に、さらに食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣に関わる因子が加わって発症すると考えられています。このタイプの糖尿病は遺伝的な素因が深く関与しているため、家系内の血縁者に糖尿病の方がいる場合には特に注意が必要となります。「2型糖尿病」でも、血糖コントロールの為にインスリン治療が必要となる場合もあります。
この他にも「その他特定の機序疾患によるもの」「妊娠糖尿病」があります。「その他特定の機序疾患によるもの」にはある特定の薬物が原因で起こってしまう糖尿病や、肝硬変といった肝臓疾患などから起こる糖尿病等が含まれます。「妊娠糖尿病」はその名の通り、妊娠中に起こる糖尿病です。
もしご自身が糖尿病と診断されたら、どのタイプの糖尿病に入るか知っておくことも大切です。
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今年の春に厚生労働省が発表した平成18年国民健康・栄養調査結果によりますと、「糖尿病が強く疑われる人」は約820万人、「糖尿病の可能性が否定できない人」は約1,050万人と言われています。両者をあわせると約1,870万人にも上り、さらに驚くべきことにこの糖尿病患者数は年々増大傾向にあります。
また、糖尿病は「沈黙の病気」とも言われるように、それ自体では自覚症状が少ないのが特徴です。自覚症状がないからといって、血糖値が高いままでこれを放置しておくと、やがて全身に様々な合併症を起こしてしまうのがこの病気の恐ろしい点です。これらは糖尿病の三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)と呼ばれます。これらの合併症は体の中の細い血管が障害されることで起きます。
神経障害では、足先や手先のしびれが出たり感覚がなくなったりします。また自律神経障害が起こると立ちくらみ、発汗異常、排尿障害などが出たりします。さらに足壊疽(時に足切断)などの重大な結果をきたすこともあります。
また、網膜症では眼底の出血、網膜剥離などを起こすことも知られており、視力低下や失明に至ることもあります。さらに腎症が進行すると腎臓の働きが徐々に低下していき、腎不全となり人工透析を受けなくてはならなくなることもあります。残念ながら、糖尿病腎症は血液透析導入の原因の第一位となっています。
糖尿病の発病には遺伝的な素因も重要です。つまり、親戚に糖尿病の人がいる時は特に注意が必要です。
糖尿病と診断されたら早めに治療を行って、血糖をきちんとコントロールすればこれらの三大合併症を予防することができます。つまり、糖尿病に関しても早期発見および早期治療が大変重要で、定期的に健康診断などでチェックを受けることがすすめられます。
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